こんにちは。メガネのミヤコヤ4代目、高橋雅人です。
メガネが高いのにはそれなりの理由があります。
工場見学に行く度に逆に安すぎなんじゃないかと思えるくらい日本のメガネはこだわっている。ただ、それを伝えきれていないのは僕らメガネ屋の責任でもあると思っています。だからこそ、どうやって一本のメガネが完成しているのかを少しずつお話ししてみたいと思います。
日本のメガネはその90%以上を福井県の鯖江市という所で作られています。
ここまではきっとご存知の方も多いのではないでしょうか?
実は福井県は最初からメガネの産地ではなかったんです。
元々のメガネはやはり「大阪」や「東京」で生産されていたようですが、増永五左衛門という町の豪農が雪深い福井の冬期の仕事として発展させたことがきっかけでいまや一大産地になっているんです。ちなみに、世界3大メガネ産地のひとつでもあるんですよ!
福井のメガネの生い立ちについて知りたいという方は藤岡陽子さん著の「おしょりん」をご覧いただくと面白いと思います♪
あまり知られていませんが、日本のメガネは完全な分業制になっています。
少しカッコイイ言い方をすると「スペシャリスト制」!
それぞれの分野のスペシャリスト達が最高の品質のものを作り、それを組み合わせる。
だからこそ、完成品は一つの工場ではで到達できないところまでクオリティの高いモノになり得るのだと思います。
もちろん技術力には違いがあったり、設備や考え方にも違いはありますが、何回か工場見学に行った感じだと、良いものを作ろうとする姿勢はほとんどすべての職人さんが持つ気持ちではないかと思っています。
ここでひとつ疑問が生まれます。
それぞれの分野ってどこまで?と。
大別すると「プラスチックフレームの職人さん」と「メタルフレームの職人さん」。
ですが、プラスチックの職人さんの中にも「切削のプロ」「削り出しのプロ」「磨きのプロ」・・・と本当に細かく分けられます。
そんなプロの仕事の中から、今回は一つ「バレル研磨」「ガラ入れ」という工程についてお話をしてみたいと思います。
「ガラ入れ」とは一言でいうと「一次磨き」の工程です。
バレル研磨ともいうのですが、この工程でしっかりと素材の芯まで磨かれていると最後の仕上げの時に輝き方が全然違ってくるんです。
この八角形の箱の中にいろんな素材のチップや研磨剤などを入れ、メガネのパーツを一緒に『ガラガラガラ~・・・』と回して磨いていきます。
この中に入れるものは完全に企業秘密。写真NGなので中身は撮っていません。あしからず。
それで話をよく聴いてみると、これがもの凄く大変なんですよ。
中に入っている多種多様なチップや研磨剤などは気温や湿度によって内容を変えないとならないそうで、その加減は職人さんにしか分からないんだとか。
しかも一回のガラ入れの期間は3~4日間!
中には7~10日間、このガラ入れを行う職人さんもいるんです!!
もちろん、この期間が長いメガネは輝き方が違います。本当に芯から光っているんだな、というのが分かるくらい違いが出るんです。
そして、今『1回のガラ入れ』と言いましたが、実はこの工程、要所要所に数回行われるんです。
さらに、ガラ入れの工程は細かいパーツごとにも行います。
このバレルはプラスチックフレームに使われる飾りピンなどの小さなパーツ用のもの。
ベルトをつないで『ガラガラガラ~』と回して研磨するそうですよ。
メガネ作りはもちろんこのバレル研磨だけでは終わりません。
それでもこの工程だけでも何日もかかるんです。
これ以外にも、削ったり、磨いたり、メッキをかけたり、刻印を打ったり、デモレンズを入れたり・・・
それぞれの工程で、それぞれ最高の仕事をして、ようやく完成するのが1本のメガネ。
それが本当の職人さんが作った『日本の眼鏡』なんです。
磨きのキレイなおすすめメガネ
ABOUT この記事を書いた人
高橋 雅人(たかはし まさと)
新潟県十日町市でミヤコヤの長男として生まれ、家業を継ぐべく現在修業中です。人の笑顔を見ること、喜ばせることが好きで、メガネを楽しめる方が増えるように、いろんなことにチャレンジ中!趣味は、読書・映画鑑賞・カクテル。【SS級認定眼鏡士/認定補聴器技能者】